女官の声は、確かに教皇の間の中に届いていた。


沙織「皆さん、時は来ました。心の準備はよろしいですね？」

シオン「はっ。」

沙織「よろしい。…お入りなさい！」


沙織の入室許可の声の後、扉は大きく開かれていく。

扉の向こうには、青銅達に囲まれながら佇むあの少女の姿。

静々と、葵は教皇の間に入ってきた。

黄金の誰もが、改めて葵の小宇宙を感じようと彼女を見つめた。


シオン（あぁ、何と暖かな小宇宙なのだ…。）

サガ（暖かく、何処までも広く開け放たれた野のように…広い心。）

ロス（俺達は一体何処を見て、この子を危険因子だと決め付けていたのだろう…。）


感じれば感じるほど、葵の小宇宙は何ら敵対心の欠片もない。

黄金達は、再び葵を傷つけた自らの愚かさを思い知らされていた。

やがて、葵は沙織の玉座の真正面までやってきた。


沙織「…葵、少し痩せましたか？」

「ほんの、ちょっぴり…///」

沙織「では、今日は貴女の好きなメニューでお夕食をとりましょうね。その前に…、ようこそ、私の愛しい妹。私は貴女の訪問をとても嬉しく思いますわ。」

「お姉ちゃん…///」


沙織は玉座から降りて、葵を抱きしめた。


沙織「葵、貴女を呼んだのはいくつか理由があるからなの。聞いてもらえるかしら？」

「？　うん。」

沙織「…ここに控える、私の黄金達。彼らが、貴女にしてきた仕打ちをお詫びしたいと…。」


沙織は黄金達に視線を移した。