氷河「…今は、聖域へ来る前の明るさを取り戻しました。しかし、此処ですぐに聖域へ戻せば、彼女はまた悲しい表情に逆戻りする事でしょう。それに、貴方達の事も信用できない。」

黄金「「！？」」

瞬「そうだよ。一体、誰が葵をあそこまで追い詰めたと思っているんです！？　他ならぬ、貴方達じゃないですか！」

ムウ「ですから、私達は彼女に…！」

一輝「黄金聖闘士も、地に落ちたものだ。」

リア「何だと！？」


激高するアイオリアだが、一輝はギロリとひと睨みする。


一輝「アテナの聖闘士の中で最高峰と謳われる、黄金聖闘士か…。貴様らの聖衣の色は黄金ではなく、メッキではないのか。」


一輝は一歩一歩、黄金達と距離を詰めていく。

彼は間違いなく、怒りの小宇宙を燃やしていた。


一輝「貴様らは…聖闘士としての初歩的な事も忘れ、何の罪も犯していない少女を深く傷つけ、アテナと聖域を守り通せたと喜んでいたのだろう？」

ミロ「くっ…！」


何も言い返せない黄金達は、一輝の言葉に耳を傾けるしかない。


シャカ「一輝よ、我らが初歩的な事を忘れたと言ったが…。それは何かね？」

氷河「…小宇宙だ。」


氷河も、紫龍も、瞬も、星矢も、一輝の後を歩く。


氷河「我が師カミュ、俺は貴方から小宇宙とは何たるかを物理的な面、精神的な面から教わりました。その教え、この氷河は忘れた事はありませんでした。ですが、貴方は忘れてしまっていたのが、悲しい…。」

紫龍「老師、俺も貴方からそれを教わりました。この紫龍、今でもその教えに偽りは無いと信じております。」

童虎「…そうじゃな。」


青銅達の言いたい事が分かった童虎は、俯いてしまう。

カミュも思い出したのか、表情をゆがめた。


デス「おい、小僧ども。まわりくどい言い方はやめて、ストレートに言えや。」

星矢「はぁ…。馬鹿だ馬鹿だと思っていたけど、馬鹿ここに極まりだな…。」

デス「お前に馬鹿呼ばわりされるなんざ、この俺様もやきが回ったもんだ。」

シュラ「で？　カミュ、老師。青銅達は何を言おうとしているのだ？」


童虎はため息をついた。


童虎「小宇宙の本質についてじゃよ。」