春の女神と始まりの詩
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一方、聖域では葵が来る以前の暮らしに戻っていた。
日々、執務や任務に精を出し、己を高める鍛錬を重ね、後輩達を指導する日々に。
そこには、危険因子として睨みを利かせていた葵の姿はなく、全てが元通りになった。
これが、シオンや黄金聖闘士たちの望んだ聖域。
だが…、彼らの心は晴れやかな心境とはかけ離れたものだった。
何かが足りないと、誰もが感じ始めている。
そして、ふと視界に入る花を見ると、あのあどけない少女の姿が脳裏に浮かぶのだ。
シオン「不思議だな…。」
童虎「シオン?」
休息時間、シオンは私室で童虎と碁を打っていた。
彼の視線は碁盤の上ではなく、窓の外にある。
童虎もその視線を追い、シオンが何を見ているのかすぐに分かった。
そこに咲いているのは、小さく愛らしい花。
シオン「何故だろう…。あの少女が聖域から去る事がアテナの為、聖域の為と信じて、それがやっと叶ったというのに…物足りぬ気分になるのだ。」
童虎「…ワシもだ。危険因子とはいえ、あの子自身に罪は無かった。それだけが、心痛む事だ。」
シオン「アテナのお怒りも未だ解けん。アテナがどれほど葵を大事にしておられたのか、ようやく分かった気がするわ。」
童虎「うむ…。」
双魚宮、アフロディーテの薔薇園サロン。
そこには、主であるアフロディーテとデスマスク、シュラがいた。
3人は茶を飲みながら、たわいも無い事からお互いの任務についての情報交換をしていた。
デス「あの女が聖域から居なくなってから、女官達の視線が痛いんだよな。」
シュラ「お前がいつも下らん悪戯をしているからだろう。」
アフロ「…薔薇達は、元気が無くなっているんだ。」
デス「あん? いつもと同じじゃねぇか。」
アフロ「花を愛でる感性が皆無の君には分かるまいよ。…薔薇達の咲く姿に張りが無いのさ。」
シュラ「それは…お前もそうだからではないのか? お前自身、元気が無いし、張りが無い。薔薇達もそれを感じているのだろう? それに…あの少女はペルセフォネだ。オリンポス神族の中でも、ひときわ動植物に愛されている存在だからな…。」
アフロ「私は、何処で間違えたのかな。あの少女には、悪意のひとかけらも見えなかったのを承知しながら、未来の厄災と信じて、彼女を冷たくあしらってきた…。」
デス「それは黄金の誰もが一緒だ。今まで多くの聖闘士が戦って、散っていった。その最たる原因でもあるハーデスの妃が来たとなれば、誰でもそうなるわな…。」
アフロディーテは傍にあった薔薇の鉢を手にして、悲しげに呟いた。
アフロ「私の愛しい薔薇達よ、教えておくれ。私は一体、どうすればいいんだい…?」
シュラもデスマスクも、その言葉に胸を痛めるばかりだった。
日々、執務や任務に精を出し、己を高める鍛錬を重ね、後輩達を指導する日々に。
そこには、危険因子として睨みを利かせていた葵の姿はなく、全てが元通りになった。
これが、シオンや黄金聖闘士たちの望んだ聖域。
だが…、彼らの心は晴れやかな心境とはかけ離れたものだった。
何かが足りないと、誰もが感じ始めている。
そして、ふと視界に入る花を見ると、あのあどけない少女の姿が脳裏に浮かぶのだ。
シオン「不思議だな…。」
童虎「シオン?」
休息時間、シオンは私室で童虎と碁を打っていた。
彼の視線は碁盤の上ではなく、窓の外にある。
童虎もその視線を追い、シオンが何を見ているのかすぐに分かった。
そこに咲いているのは、小さく愛らしい花。
シオン「何故だろう…。あの少女が聖域から去る事がアテナの為、聖域の為と信じて、それがやっと叶ったというのに…物足りぬ気分になるのだ。」
童虎「…ワシもだ。危険因子とはいえ、あの子自身に罪は無かった。それだけが、心痛む事だ。」
シオン「アテナのお怒りも未だ解けん。アテナがどれほど葵を大事にしておられたのか、ようやく分かった気がするわ。」
童虎「うむ…。」
双魚宮、アフロディーテの薔薇園サロン。
そこには、主であるアフロディーテとデスマスク、シュラがいた。
3人は茶を飲みながら、たわいも無い事からお互いの任務についての情報交換をしていた。
デス「あの女が聖域から居なくなってから、女官達の視線が痛いんだよな。」
シュラ「お前がいつも下らん悪戯をしているからだろう。」
アフロ「…薔薇達は、元気が無くなっているんだ。」
デス「あん? いつもと同じじゃねぇか。」
アフロ「花を愛でる感性が皆無の君には分かるまいよ。…薔薇達の咲く姿に張りが無いのさ。」
シュラ「それは…お前もそうだからではないのか? お前自身、元気が無いし、張りが無い。薔薇達もそれを感じているのだろう? それに…あの少女はペルセフォネだ。オリンポス神族の中でも、ひときわ動植物に愛されている存在だからな…。」
アフロ「私は、何処で間違えたのかな。あの少女には、悪意のひとかけらも見えなかったのを承知しながら、未来の厄災と信じて、彼女を冷たくあしらってきた…。」
デス「それは黄金の誰もが一緒だ。今まで多くの聖闘士が戦って、散っていった。その最たる原因でもあるハーデスの妃が来たとなれば、誰でもそうなるわな…。」
アフロディーテは傍にあった薔薇の鉢を手にして、悲しげに呟いた。
アフロ「私の愛しい薔薇達よ、教えておくれ。私は一体、どうすればいいんだい…?」
シュラもデスマスクも、その言葉に胸を痛めるばかりだった。