ハーデスと葵の熱い抱擁を目の前にして、闘士たちも微笑ましく見ている。


瞬「かつては愛を信じないと言っていたハーデスだけど、これなら大丈夫だね。」

氷河「あぁ。ハーデスは葵を…ペルセフォネをこの上なく愛しているんだ。もはや、過去のように、冷たく暗い雰囲気のハーデスには戻るまい。」

ラダ「ハーデス様があのようなお顔をされるとは、初めて見たな。」

ミー「えぇ。ハーデス様の幸せそうなお顔、ペルセフォネ様の幸せそうなお顔。それを守る為にも、我々冥闘士も励まねば。」

アイコ「いいなぁ…。俺にもいつか、ハーデス様にとってペルセフォネ様のような良い奥さんが貰えるかなぁ…。」


皆が微笑ましくハーデスと葵を見ていたら、何やらヒラヒラと舞い散る物が。

掌に納まるそれは、地上では見た事もない美しい花弁。


冥王「この花は…？」

「これ、天界だけしかないお花だよ？　どうして、聖域に？」

沙織「葵、花弁に込められた小宇宙をよく読み取って御覧なさい？」

「…これ、お父様の小宇宙！　こっちは、お母様。」

海皇「ヘラやアルテミス、アフロディーテの物も。」

「アポロン兄様、ヘパイストス、ヘルメス兄様のも。」


おそらく、今日という喜ばしい日の祝いに、天界にいるオリンポス１２神たちが送ってくれたのだろう。


「皆、喜んでくれてる。小宇宙が教えてくれる…。」

沙織「私達も天界に負けていられませんわね。さぁ、宴を始めましょう！　地上に、春の女神が戻ってきてくれた宴を。」


そして、豪勢な料理に美味な酒が山のように持ち込まれ、宴が始まった。

広間の中心にはカミュが作ったペルセフォネの氷像があり、その様子を見つめているのだった。