しばらくして、葵は他の皆に会いたくなって部屋を出た。

小宇宙をたどって行くうちに、彼女は大きな広間の前に立った。


（ここに、皆の小宇宙が集まってるんだけど…凄く静か。）


今感じる小宇宙のメンバーがいれば、いつもはもっと賑やかな筈だがと首を傾げた葵は扉を開いた。

だが、中は何も見えないくらいに真っ暗で、まさに一寸先も見えない状態だ。


（小宇宙の残滴だったのかな…。探しなおそう。）


葵が再び部屋の外に出ようとしたその時…。


パンッ！

パンッ、パンッ！！


「Σきゃっ！？」


凄いクラッカーの音がして、部屋の灯りが点る。

驚いた葵が振り向くと、そこには沙織、聖闘士、ポセイドン、海闘士、ハーデス、双子神、冥闘士が揃っていた。

皆、これ以上なく微笑んで彼女を見つめている。

呆気に取られていた葵だが、何とか言葉を口にする。


「皆…。」


葵のたった一言が耳に聞こえた沙織は、微笑を浮かべた顔を歪ませ、感極まって涙を流し、葵に抱きついた。


沙織「葵、よかった…！　無事に戻って来てくれて、良かった。」


葵は沙織の泣き声を聞いて自分も感極まる。

何もできず、ただコレーのする事を精神の裏側で見ている事しか出来なかった無力な自分。

そんな自分が戻ってきた事で、姉がこんなにも喜んでくれた。

それがとても嬉しくて、ただそれだけでも嬉しくて。


「おねっ、お姉ちゃん…！　お姉ちゃんっっ。」


葵も沙織に抱きつき、互いに叶わぬと思われていた再会に泣いた。

それを遠巻きにして見ていた他の者も、彼女達に近付く。