未だ、事態を呑み込めない沙織達に、各界の闘士たち。

先ほどまでユラユラ揺れていた光の柱がちゃんと安定し、アベルは柱に近付く。


沙織「お兄様、これは一体！？」

アベル「…まぁ、見ておいで。さ、私の腕の中に降りておいで。」


アベルが光の柱に手を伸ばすと、その腕ごと光の柱に吸い込まれていく。

やがて、彼は何かを掴めたのか引きずり出すような仕草をした。

彼の手には何やら白い布が握られていると思ったが、それはマントだった。

そして、柱の中からアベルの腕の中に１人の人物が倒れこむように降りてきて、アベルは自分の胸にその人物を抱いた。

その後、もう１人の人物が柱の中から抜け出してきたが、その人物はアベルの手を借りると、自分から地面に足をつけた。

柱の中から出てきた２人の人物の顔をうかがい知る事はできないが、何処か懐かしい小宇宙を皆が感じている。


海皇「アベル、その者達は？」

冥王「その者達と、我らを会わせるのが目的か？」

アベル「えぇ、それが目的であり、ゼウスの御心でもあります。」

沙織「お父様の、御心？」

アベル「フフッ。さぁ、挨拶をしておあげ？」


アベルが脇に控える人物に声をかけると、その声が聞こえた。


「…また、会えたわね。」


そう言いながらマントのフードを脱いだ人物の顔を見て、皆が驚愕した。