冥王「これは一体…！　ペルセフォネ！？」


ペルセフォネの身体は発光が増すと共に薄れていくのが分かった。

彼女の身体の向こうの景色がうっすらと見えているのがその証拠。


海皇「これは一体、どういう事だ！？」

沙織「葵…、いえ、ペルセフォネ！？」


沙織達の驚きを見て、彼女はフワッと笑みを浮かべた。


《分かっていた事だから…。クロノスを封印するには、私の小宇宙全てを使わなきゃいけない事が…。》

タナ「ペルセフォネ様の小宇宙全て！？」

ヒュプ「では、まさか…。」

《ペルセフォネという存在を維持する小宇宙全てを使うという事だから…。もう、私は存在できなくなるね…。でも、その前に…皆に言いたい事があるの…。》

アベル「ペルセフォネ…。」

《…皆に攻撃して、ごめんね。心も傷つけてしまって、ごめんね…。》

星矢「そんな、こんな…こんなのって！」

《私が消えるという事は、もう１人の私も消えてしまう…。皆が大好きだった春の女神のペルセフォネも…。春の女神は…もう、表に出られるほどの小宇宙も残っていない…。でも、皆に伝えてほしい言葉は、私がちゃんと受け取っているから…。》

沙織「駄目…、駄目です！　やっと、やっと貴女と気持ちを通じ合わせられたのに！」

《…最後まで迷惑かけてごめんね？　皆と出会えて、一緒に過ごせてとても楽しかったよ？　ずっと、ずっと皆が大好きだから。…今までありがとう、さようなら…。》


ますます発光が強まるペルセフォネの身体、薄れいく身体。

誰よりも彼女の近くに居たハーデスは、我慢の限界を超えた。

彼らしからぬ焦りの表情を浮かべ、彼女の身体を強く抱きしめたのだ。