沙織「貴女は…自らの力ゆえ、誰にも受け入れられない事を悲しんでいるのではなくて？　本当は、誰にも攻撃したくないのでしょう？」


沙織は少しずつ死の女神へ近づく。

一歩一歩、小さくても確実に近づく。

死の女神は図星を指されたような表情を浮かべながら、沙織が近付く度に後退してしまう。

クロノスは沙織を退けようと思ったが、ハーデスたちが自分の行動に目を光らせている事を悟ると、攻撃を仕掛ける事も困難と判断。

沙織と死の女神を見ている事しか出来ない。


沙織「…だったら、私が、私達が貴女の全てを受け入れます。貴女の本当の気持ちをゼウスやオリンポスに伝え、和解を促すようにしますから…。」


その言葉に死の女神は弾かれたように顔を上げた。

しかし、その表情は戸惑いの表情とは打って変わり、恨みと憎しみが篭った表情になっている。


《妾を受け入れるだと…？　簡単に受け入れるなどと戯言をほざくな、小娘！！！》


大鎌を持つ手に力が込められた。


《父であるゼウス、母であるデメテルも妾の力を恐れて封印し、目覚めたと分かれば他の神々を集めて攻撃をしてきた！　妾を理解してくれたのはただ１人、もう１人の『ペルセフォネ』だけだった…。そんな優しい彼女を妾もろとも殺すほどの攻撃をしたくせに今更何をほざく！　妾をお前達が受け入れるだと！？　思い上がりも大概にいたせ、アテナ！！！》


激昂した死の女神は大鎌を持っている手とは反対の手に小宇宙を込め、沙織に攻撃を仕掛けた。


？「やめよ、ペルセフォネ！！」


だが攻撃を放った瞬間、黒い影が死の女神と沙織の間に立ち塞がり、攻撃をその身で受け止めると死の女神を抱きしめて立ち尽くした。