沙織「止めなくては…！　この悲しい戦いを止めて、父上たちにも死の女神の心の内を聞いてもらわなくては。」

海皇「そうだ…、この様な無益な戦いは断じて止めねば。」

冥王「例え姿形が過去のゼウスたちに見えなくとも、止めなければ。」


そして、皆が自分に出来る最善の事をしようと走り出す。

死の女神にゼウスたちの攻撃が届かないように結界やバリアを張る者、傷ついた身体を癒そうとする者…。

しかし、分かり切っていた事だ…。

過去の者が未来に手出しできぬように、未来の者に過去が変えられる訳がない。

何の効果も無く、全てが無駄になっているのだ。


星矢「沙織さん、ゼウスたちが！！」

沙織「あぁ！？」

アベル「三界の長達が…構えた。」

海皇「ペルセフォネを…討つのか！」

冥王「くっ、やめよゼウス！　お前の放つ攻撃は、死の女神ではなく春の女神のペルセフォネに当たるのだぞ！」


しかし、皆の叫びも虚しく、ゼウス達兄弟の攻撃はペルセフォネに放たれる。

その時、皆の脳裏にまた声が響く。


《ごめんなさい、ごめんなさい…。》

タナ「このお声は…。」

ヒュプ「ペルセフォネ様が、表に出てこられた！？」

《貴女の苦しい気持ちに気付けなくて…ごめんなさいっ…！》


その瞳は真っ直ぐで、自分へ放たれた大いなる力に向けられている。

完全に意識を取り戻して春の女神に戻っていたのだ。

力の向こうに、慌てて力を止めようとするゼウスたちの姿も見えた。