紫龍「しかし、ゼウスともあろう者が何をコソコソと歩いているのでしょうか？」

アイザ「天界といえば、ゼウスの庭も同然のはず…。己の気配を察知されて、何ら不都合はないと思うが…。」


しばらく歩いていくと、見事な花畑に出た。

ゼウスは大きな柱の後ろに隠れ、その花畑の中を覗き込む。


一輝「おい、誰か花畑に居るぞ？」


皆が一輝の指差す方向を見ると、小さな影が一生懸命に花を摘んでいた。

その影が振り向いた瞬間、皆が声を張り上げる。


闘士「「葵！」」

神ズ「「ペルセフォネ（様）！」」


とても可憐な少女は、鼻歌交じりで花を摘んでいる。

しばらくその姿を見ていた沙織達の脳に、またもやゼウスの声が響いた。


ゼウス《我が娘ながら、何と愛らしい…。》

海皇「出た…、娘自慢；」

ゼウス《花を摘む姿もまた、麗しい。》

冥王「…何だか、胃がムカムカしてきたのは余だけか；？」

ゼウス《あの二の腕のフニフニした感触、誰にも触れさせたくないのぅ…。》

沙織「安心してください、ハーデス。私も吐き気がするほどムカムカしていますわ；」


見れば、闘士たちも顔を大いに歪めて吐きそうな顔をしている。

そんな沙織達を余所に、ゼウスはまるで忍者のような身のこなしで柱から柱へとすばやく移動し、ペルセフォネの近くへ近くへ行ってしまう。

父ではあるが、彼の女癖の悪さは良く知る沙織。

姉であろうが妹であろうが、娘であろうが手を出すのはまさに神業。


沙織「ゼウス…、ペルセフォネに良からぬ事をしようと思っているのね！？」


ニケをギュウッと握り締め、彼にブン投げるような態勢になる沙織。