《妾を止めようと言うならば、全力で来るが良いぞ？　そなたらの小手調べ程度の技など、痛くも痒くもない！》


だが、そんな事が出来るはずも無い。

いつ、死の女神から春の女神に戻るのか判断できないのに。


《妾を屠るのが怖いか？　おぉ、この肉体の娘はそなたらにたっぷりと溺愛されているのだったな？　ホホホ、愉快じゃのぅ！》

冥王「黙れ！！　葵を…我が妻ペルセフォネを貶めるような発言は許さぬ。」

《その妻をかつて手にかけた愚かな神は何処の誰であったかの？　挙句には、妻の遺体にすがり付き、天界全土に響くほどの嗚咽を漏らした情けない神ごときが、偉そうに説教などするでないわ。》


ペルセフォネは愉快そうに高笑いし、皆の神経を逆なでし続けた。

これが、最初から敵対している者ならば遠慮の欠片も無く攻め滅ぼす。

だが、彼女の本体はあの愛らしい葵。

誰もが悔しい思いで爆発しそうだった。


《さぁ、妾をもっと楽しませてたもれ？》

沙織「…仕方がありません。まずは死の女神であるペルセフォネを疲弊させる事にいたしましょう。そうすれば、隙を見て動きを封じる事も可能でしょう。」

海皇「それしか方法は無いか…。」

冥王「…やむをえん…。」


沙織はニケの杖を、ポセイドンは三叉の槍を、ハーデスは剣を手にして構える。

そして、三界の闘士達も己の主に従う覚悟だ。

苦渋の決断をした主の苦しみを少しでも和らげる為に、優しい葵を取り戻す為にここは躊躇などしていられない。


《ほほぅ、皆で楽しませてくれるのか？　いいだろう。さぁ、何処からでも来るが良い！》


ペルセフォネの大鎌もギラリと輝きを放った。