アベル「ゼウスに恨みを抱いているのはティタン神族だけではない。封印されたもう１人のペルセフォネも同じだろう…。ティタン神族とペルセフォネが手を組めば…おそらくオリンポス神族も歯が立つまい。」

星矢「たった１人が陣営に加わるだけで、そんなにも戦局が変わるのかよ！？」

アベル「忘れては居ないかね、ペガサス。もう１人のペルセフォネの実力はゼウス以上だ。それは、ここに居るアテナ、ポセイドン、ハーデスが束になっても歯が立たない事を示している。」

紫龍「では、もし仮にオリンポス陣営が敗北したとなれば、どうなるのです。」

アベル「地上は間違いなく生物が死に絶え、滅亡する。海界と冥界にも侵攻するだろうが、結果は言わなくても想像できるだろう。」


聖域と和平を結んでいるからには、要請があれば援軍を出すであろう。

だが、先ほどの話が真実ならば、元の世界に戻る事はかなうまい。

自分達の世界を司る神ですら滅ぼされると言われれば、容易に想像できる事だった。

しかし、ゼウスが黙ってその事態を招く訳も無い。


アベル「ゼウスは地上を滅ぼさない為にも、ティタン神族とペルセフォネの復活を阻止するつもりだが、いざとなれば…武力行使も止む無しと考えておられる。」

瞬「葵と…ペルセフォネと戦うと言うのですか！？」

アベル「そうでもしないと、地上の滅亡を阻止できんのだ。アンドロメダ。」


皆、何という事だと頭を抱えている。


アベル「ペルセフォネは女神。宿る肉体が朽ちても、その神格が宿る魂までは滅多な事では滅びぬ。次の肉体に宿れば人として育ち、時満ちればペルセフォネとしての力を発揮できるようになるだろう。その時、今の性格とは異なっている可能性もあるだろうが…。」

沙織「何を仰っているのですか、お兄様…！？」

アベル「ペルセフォネの魂は常に表裏一体、次に転生した時も同じ事の繰り返し…。いや、結局はペルセフォネという女神が存在する限り半永久的に続いていく事だが、ペルセフォネを…地上を救う手立ては…。」


皆が固唾を呑む。

そして、ついにアベルはその一言を口にした。


アベル「城戸葵もろともペルセフォネを殺し、新たに転生させる事だ。」