第７話「明かされる真実。」


ハーデスがアテナたちを招集して話をしていた頃、天界から再びアベルが降臨した。

アベルはすぐさま神々の他、今聖域に居る主だった闘士も同席させよと命じ、皆が円卓の間に集った。

彼が話したのは、降臨する前のゼウスとの会話である。

もはや、猶予は１ヶ月ほどしかない。

クロノスの封印も亀裂が入りつつあり、死を司るもう１人のペルセフォネが甦るのも時間の問題だと。

沙織を始めとする神々は、先ほどハーデスから葵の異変を聞いていただけに神妙な顔つきでアベルの話に聞き入っていた。

アベルの話が終わっても、誰１人として発言する者は居なかった。

皆、どうすれば葵が救えるのか、死を司るペルセフォネを目覚めさせずに済むのかを考えているのだ。

アベルにも皆の考えが手に取るようにわかる。

今まさに天界でも身分の高い低いに関わらず、知恵者の神が総出で死を司るペルセフォネの復活阻止の方法を考えているのだ。

ゼウスを含める１２神たちも必死に方法を考えている。

しかし、今だ有効な手立ても浮かばず、その間にもクロノスの封印に亀裂が走っているのだ。


アベル「…皆の考えている事はよくわかるし、天界でも我が父ゼウスや１２神、知恵者の神々が総出で方法を考えている。だが、今だ有効と言える方法は見つかっておらんのが現状だ。」

沙織「では、今のままでは…。」

アベル「父ゼウスも必死で方法を考えているが、おそらく有効な手立ては無い。こうなっては、我々に死を司るペルセフォネ復活を止める事はできまい…。」

海皇「死を司るペルセフォネが復活すれば如何様になるのか、アベルよ。」

アベル「先だってお話したように、クロノスが復活し、ティタン神族も封印を解かれましょう。」

冥王「ティタン神族はオリンポス神族…、特にゼウスへの復讐心を抱いておる。おそらく、手始めに地上への侵攻を始めるだろう。ティタノマキアの再現になるかも知れぬ…。」


ティタノマキアの再現と聞き、闘士たちは驚きを隠せない。

ティタン神族とオリンポス神族の１０年にも渡る戦いが再現されれば、この地上は間違いなく荒廃し、下手をすれば人類滅亡へと繋がりかねないからだ。

そして、そこにアベルが更なる追い討ちをかけた。