冥王「ハァ…。」


ハーデスは教皇宮の中庭で１人黄昏て居た。

葵に小さな拒絶をされた事、あの後に部下達から向けられた白い目。

一体、自分が葵に何をしてしまったのか。

考えてもその理由が浮かんでこなかった。


冥王「余は…一体どうすればいいのだ…。」

？「あら、お天気も良いというのに、この中庭だけ暗くジメジメしています事。」


声と同時に禍々しい小宇宙を感じたハーデスはバッと後ろを振り向いた。

そこには満面の黒笑顔を浮かべ、腕を組んで仁王立ちしている沙織が居た。


沙織「お隣よろしいかしら、ハーデス？」

冥王「あ、あぁ…。」


沙織はハーデスの隣に座ると、ギロリと彼を睨み付ける。


沙織「あの後、葵にどうしてハーデスを拒絶したのかお話しを聞きました。」

冥王「！？」

沙織「本当に貴方がた兄弟は女狂いの所だけが似通って！　あれでは葵が、ペルセフォネが可哀想ですわ。」

冥王「待て、一体何の話なのだ。余がペルセフォネに何をしたと言うのだ、アテナ！？」

沙織「身に覚えが無いと仰るなら教えて差し上げます。」


そして、沙織は葵から聞いたエリシオンでの出来事をハーデスに事細かに、所々嫌味を織り込んで説明した。

それで全ての事情を知ったハーデスは、激しい自己嫌悪に襲われた。


冥王「そうだったのか…。余はペルセフォネの訪問に気付きもせず、彼女と楽しげに話していたから…傷つけてしまったのか…。」