第６話「解かれた誤解。」



「ぅ…、ぅうん…。」

沙織「葵、気がついたのですか？　葵！？」

「…おねえちゃん…？」

沙織「あぁ、目が覚めたのですね！？　良かった…。」


葵の顔を覗き込む沙織は泣き腫らしていた。

周りには三界の闘士たちが所狭しとひしめき、葵の様子を伺っている。


「わたし、どうちたの…？」

海皇「お前は丸１日眠っていたのだよ？　身体の調子はどうだ？」


葵はゆっくりと起き上がってみる。

身体に異常は無いが、何かがおかしい。

眠りに着く前より、皆の顔が近く見えるのだ。


「みんなのお顔…、近くなってゆ？」

沙織「そうです。貴女は丸１日眠っていましたが、その間に体が成長していたようです。」

冥王「ペルセフォネ、本当に大事無いか？　痛い所は無いのか？」


ハーデスが一歩前に出て、葵に触れようとした。

葵もついハーデスに甘えてしまいそうになるが、脳裏にあの時の光景が甦る。

花咲き乱れるエリシオン、ハーデスの神殿、神殿の中庭、ハーデスと…仲睦まじく話す美女。

気がつくと、ハーデスの手は目の前に来ている。

葵はハーデスに触れられるのが怖くなり、小さな手で彼の手をペチッと払いのけ、顔もソッポを向いてしまった。


冥王「ペルセフォネ…！？」


痛くも痒くもない行動だが、ハーデスの心は大きく軋む。

葵に初めて拒絶されたのだ。