そして今生、転生した先には城戸沙織として転生していた姉、アテナがいた。

溺愛され、皆に好かれ、先のハーデスの聖戦後にゼウス自らがペルセフォネの神格を葵に教え、聖域に住まいするようになった。

聖域でも皆に溺愛され、海界、冥界、さらには天界の住人にも愛されている。

４つの世界の安寧の為、小さな体で精一杯頑張って、大切なお役目を果たしていた。

途中、様々な困難や災難が降ってきたが、皆の尽力で乗り越えてきた。


アベル「だが、今生になってティタン神族の封印が解けかかっている事が判明したんだ。封印に微々たる物だが亀裂が生じてきている。」

シュラ「ゼウスの封印が？　何者かが手を加えたのでは？」

アベル「もちろん、その事も考慮して調査を行ったよ。でも、その痕跡は全く見当たらない。自力で封印を破ろうなんて絶対不可能な封印でもあるしね。ゼウスたちは調査を行って、ある１つの結果に辿り着いた。」

カミュ「その、結果とは？」

アベル「ペルセフォネの力が大きくなっていたんだ。」

ミロ「それがどういう関係があるのですか？」

アベル「ペルセフォネに封印されている『死の力』と『鍵』の２つの能力は覚醒する事は無くても、成長していたんだ。」

童虎「何故、それに気付くのが遅くなったのじゃ？　その２つの力であれば、わずかに成長しても直ぐに気付けるのでは？」

アベル「成長していたのがその２つだけならばな。」

シャカ「再生の力も共に成長していたと言うのかね？」

アベル「まさにその通り。封印していた力と共に春の女神としての能力も高まっていた。故に、気付くのが遅くなってしまったんだ。」

リア「鍵の能力も高まっているという事は、クロノスの封印が解けるという事。ならば、クロノスとティタンの復活は目前という訳ですか？」

アベル「いや、クロノスの復活＝ティタンの復活ではないんだ。あくまでティタンの復活は鍵であるペルセフォネの能力なんだ。だけど、獅子座の危惧する事も充分ありえる。クロノスの復活により、鍵の能力が大きく覚醒し、ティタンも復活するかもしれないんだ。更には死の力も復活するかもしれない。」


だから、デメテルは何とかしようと自分で作った薬をアベルに持たせた。

少しでもペルセフォネの力を抑える為の効能を持った薬を。

そして、葵にその薬を飲ませる事をゼウスも許可したのだ。

しかし、時既に遅し。

薬は本来の効能を発揮する事は無かったのだ。