パン「ハーデス様は双子神様たちとエリシオンに居られる。三巨頭、葵をエリシオンまでお送りするように。」

「パンドラは？」

パン「私はまだ仕事が残って居るのでな。後ほど、一緒に茶でも飲もうぞ？」

「うん。」


三巨頭はパンドラに礼をすると、葵と共にエリシオンへ向かった。

もちろん、神の血を受けていない三巨頭がそのままエリシオンへ向かう事など出来はしないが、葵に捕まってそのテレポーテーションに便乗すれば問題ない。

瞬時にして溢れんばかりの花園に辿り着いていた。

冥界の暗い雰囲気がペルセフォネの気質に合わぬと、ハーデスが作り上げた美しき楽園。

この楽園の美しさこそ、ハーデスからペルセフォネへの愛、そのものなのだ。


「ハーデスは、自分の神殿に居るのかなぁ？」

ラダ「恐らくはそうでしょう。」

アイコ「しかし、いつ来てもキレイな花園だよなぁ。」

ミー「ハーデス様のペルセフォネ様への想いがよくわかりますね。」

「は、恥ずかしいよ、ミーノス///」

ミー「クスクス、それはとんだ失礼を。では、ハーデス様の神殿へ参りましょう。きっと、ハーデス様も貴女のお出ましを心待ちにしておりますよ？」

「うん///」


三巨頭と代わる代わる手を繋ぎ、所々で花と戯れ、すれ違うニンフたちに挨拶をして、葵は幸せそうな笑みを見せてくれる。

ハーデス神殿はまだ先だが、その前に双子神の神殿がある。


「タナトスとヒュプノスは何してるのかな？」

ラダ「執務をなさっているのでは？」

「じゃあ、今行ったらお仕事の邪魔になっちゃうね。」

？「そんな事はございません、ペルセフォネ様。」

「あっ。」


４人の前に金と銀の双子が現れた。


「タナトスとヒュプノス。」


葵は双子神に駆け寄り、抱きついた。

双子神も挨拶として葵の頬にキスを送る。


タナ「ようこそ、エリシオンへ。我ら一同、ペルセフォネ様のお出ましをお待ちしておりました。」

ヒュプ「ハーデス様もご自分の神殿でお待ちでございますよ？」

「うん。あのね、あのね？　お姉ちゃんが今日だけならお泊りしても良いって言ってくれたの。だから、皆のお仕事が終わったら一緒に遊ぼうね？」

タナ「何と。あのアテナが外泊をお許しに？」

「うん。ハーデスも、もっとここに居てくれればいいのにって、前に来た時も残念そうに言ってたからお姉ちゃんにお願いしたの。」


あの沙織の事だ。

何かと溺愛している葵に良からぬ事が起こりはしないかと色々と考えただろう。

考えては悶え、考えては悶えの繰り返しをしていた事だろう。