聖域、大広間。


《ズゴゴゴゴゴ………。》


地響きのような音が響き渡り、普段は寝付きのよい葵も目を覚ます。


「う…？」


目を擦りながら周囲を見渡すと、先ほどまで一緒に宴をしていた連中で雑魚寝をしていたのだ。

どうやら地響きの正体はデスマスクのイビキらしく、隣で眠っているシュラとアフロディーテは器用な事に耳を塞ぎながら眠っている。

闘士たちも神も入り乱れての雑魚寝に、少々面食らってしまう葵だが、彼女自身も沙織に抱き枕にされていた。

サガとカノンなんて、お互いに抱きしめあって眠っている。

素面の状態ならば、絶対にありえない光景に葵はクスッと笑う。

他の皆も気持ち良さそうに眠っているのを見て、葵はホッとしてまた微笑んだ。


（石畳の上に厚い絨毯が敷いてあるけど、このままじゃ皆風邪ひいちゃう；　何か持ってこよう！）


葵は沙織の腕から抜け出して、ソーッと部屋を抜け出した。

そして、人数分の毛布を一生懸命に部屋へ運び入れ、忍び足で１人１人に毛布をかけていく。


（星矢さん、瞬さん、紫龍さん、氷河さん、一輝さん。心配してくれてありがとう。葵、とっても嬉しかったんだよ？）


まずは青銅たち１人１人に毛布をかけて、その頬に感謝を込めてキスをした。

自分と歳も変わらない幼さが残る青銅たちは、葵にとってまさに兄弟。

次に目に入ったのは黄金たち。


（ムウさん、アルデバランさん、サガさん、デスマスクさん、アイオリアさん、シャカさん、童虎様、ミロさん、アイオロスさん、シュラさん、カミュさん、アフロディーテさん、シオン様。私知っているよ？　コレーと私の事、一生懸命に助けようとしてくれた事…。コレーの分までお礼を言いますね？　ありがとう。）


１人１人に毛布をかけ、感謝の気持ちと頬へのキスを送る。

自分の事を妹のように可愛がってくれる強く優しい黄金たちに、葵はいつも感謝している。