沙織「はい、葵。あ～んなさい？」

「あ～ん…（ンマンマ、ゴックン）。おいちい。」

沙織「よかったですわ。じゃあ、これも食べましょうね？」


微笑ましい食事の光景。

事は重大だが、黄金たちも微笑ましく沙織と葵を見守っている。

こんな大勢で朝食をとる事も滅多になく、楽しいひと時が流れる。

しかし……。


全員「「！！？？」」


突如として、全身の毛穴が開くほど強大な小宇宙がアテナ神殿へ降り立った。


沙織「この、小宇宙は！？」

シャカ「これは、一体何者なのかね！？　ハーデスやポセイドン並の小宇宙ではないか。」

ロス「皆、アテナと葵をお守りするのだ！」


沙織は葵をギュッと抱きしめ、葵もあまりに強大な小宇宙に怯えて泣き出している。


「おねーたん、こわいよぅ…。」

沙織「大丈夫です、葵。例え、どれだけ恐ろしい相手でも、貴女には指一本、触れさせませんからね。」


その小宇宙は微塵も迷う事無く、この部屋に近づいてくる。

皆が息を殺し、固唾を飲んでいた。

聖闘士たちは構えを取り、いつ戦闘が起きても良い様にしている。

しかし、今や大神ゼウスとも和解が成立している今、何者がここへ殴りこみをかけようと言うのだろう。

そして、小宇宙の持ち主は間違いなくこの部屋の目で立ち止まった。

扉がゆっくりとゆっくりと開かれていく。


ギギィ－－－………。


扉の向こうに居る人物は、扉が開ききると部屋の中にゆっくり入ってきた。

その人物を見ると、沙織が驚愕した。


沙織「貴方は、我が兄…太陽神アベル！！」

シオン「アベル神！？」


アベルの登場に敵ではないと悟った聖闘士たちは構えを解き、跪く。


サガ「ご無礼仕りました、アベル神。」

アベル「かまわぬよ、遣いも出さず突然訪れたのは私の非礼だ。さぁ、顔を上げて席に付きたまえ、我が妹、アテナの聖闘士たち。」


アベルは至極にこやかに答えた。