オリンポスに並居る神々の中、最も愛された女神ペルセフォネ。

愛らしく、優しく、心清らかな幼い女神。


ゼウス「あれが地上に降りて、そなたらと楽しく過ごしておる様を見ているうちに、デメテルが娘と共に過ごしたいと言い出してな。それを言っておるうちに、ヘラやら他の十二神もペルセフォネを天界に連れ戻せと言い出してな；」


そんなゼウスの後ろから、誰かが姿を現した。


へラ「当たり前ですわ！　ペルセフォネはアテナたちだけの者ではありませんのよ！？　私にとっても可愛い（×∞）姪っ子なのですよ！？」

ヘス「へラ、落ち着きなさい。でも、確かに貴方達だけに独占されているのは面白くありませんわね。」

アルテ「私もですわ。あの子と一緒に過ごした時はあまりに短くて、寂しゅうございます。」

アフ「私も、あの子に美しさのなんたるやを教えきれてませんものね。あの子はもっともっと美しく輝ける素質がたくさん眠っておりますのに！」

デメ「私がお腹を痛めて産んだ娘ですのよ？　共に過ごしたいと思っても不思議ではありませんでしょう？」


オリンポスの女神たちがゼウスを圧倒するくらい出現してきた。


ゼウス「コラ、お前たち！」


天界の長の威厳もヘッタクレも削がれたゼウス。


デメ「それで考えましたの。」

ゼウス「余を無視するか、デメテル！？」

デメ「貴方たちが本当に心の底からあの子を愛してくださっているのか、試練を与えようという話になりましてね？」


単に、地上に恵みをくれる女神だから愛しているのか。彼女が彼女であるから愛しているのか。

それを見極める試練として、今度の記憶喪失騒動を起こしたのだと言う。

しかし、崖から落ちた事は想定外の出来事だったらしい。

それでも、記憶喪失になるには絶好のシチュエーションだったので、葵が気を失っている間に記憶や小宇宙を封印しておいたらしい。

如何なる鮮烈な思い出をもってしてもけして戻らないように、オリンポスの女神たちが封印したのだから、今までどうやっても戻らないはずだ。

エリシオンの出来事も芝居を打っていたらしい。

もしも、本格的に諦める者が出てきたら即座に天界へ葵を戻し、二度と地上、海界、冥界へは行かせない計画でもあったと。