「皆、今回の事本当にありがとうございます///」


聖域、冥界、海界の主要メンバーを招いて葵の記憶回復記念パーティーが行われている席の中、葵はペコリと頭を下げた。


「大好きなみんなの事忘れてしまって、ごめんなさい…。」

冥王「もう良い、ペルセフォネ。そなたは元に戻った、それで良いではないか。」

「ハーデス…。」


優しく抱きしめてくれるハーデスを葵はウルウルした瞳で見上げた。


冥王「記憶も戻った、小宇宙も戻った。それ以上に何を望むものか。皆、そなたが愛しい一心で奔走しただけの事。謝る必要はあるまい？」

海皇「ハーデスの言うとおりだよ、ペルセフォネ。そなたがそなたである事に越した事は無いのだ。」

沙織「そうですよ、葵。今はそんなお話はやめましょう？　今は、この宴で喜びを分かち合い、明日からの鋭気を養いましょう。」

「うんっ///」


葵は１人１人にお礼を言って回って、お礼に頬へキスをして回った。

それはもはや殺人的に可愛らしく、沙織がニケを構えそうになったのは言うまでも無い。

皆で乾杯し、お酒を酌み交わし、楽しいお話をして。

その夜はいつまでも宴の間の騒がしさは収まる事は無かった。


タナ「おや？　ハーデス様、ペルセフォネ様が。」


そんな宴の中、タナトスが見たものは。


冥王「フッ、よほど安心したのであろうな。よく眠っておる。」

沙織「では、葵は侍女たちに頼んで部屋に連れて行ってもらいましょう。」


沙織が合図すると、数人の侍女が入ってきて葵を寝室へと運んでいった。


ヒュプ「しかし、解せぬ。ゼウスですらわからなかった記憶を取り戻す方法。何故、突然に戻ったのだろう？」

冥王「確かに。…アテナ、通信鏡を借りるぞ？」

沙織「え、えぇ。」


ハーデスは鏡の前に立つと何やら呪いを唱えだした。


冥王「ゼウス、ゼウス。聞こえておろう？」


しばらくすると、鏡の中にゼウスの姿が映った。


ゼウス「何事か、ハーデス？」

冥王「ペルセフォネの記憶が戻った。春の女神としての小宇宙も戻った。」

ゼウス「そうか、それは吉報であるな。」

冥王「さて、ゼウス。洗いざらい話して貰おうか？　此度の騒動、そなたの意思も働いておるのだろう？」

ゼウス「さすがハーデス。聡いな。」

冥王「その答え次第では、そなたと言えどもただでは済まさぬぞ。」

ゼウス「ならば話そう。」