「うにゅ…。」


葵は朝日の眩しさに目を覚ます。

目を擦りながら体を起こすと、周りには青銅の５人がベッドにもたれながら眠っていた。


（星矢さんたち、どうして？？？）


葵は首をかしげてしまった。


星矢「葵…。」

瞬「大丈夫だからね…。」

氷河「俺たちが、守る…。」

紫龍「案ずるな、葵…。」

一輝「守ってみせる…。」


ベッドにもたれて爆睡している青銅たちを見て、葵はようやく自分の身の上に起きていた事を知る。


（そうだ。聖域でがけ崩れに巻き込まれて、私…。記憶を失っていたんだ。）


そして、聖域で、海界で、冥界であった全ての事を思い出した。

大好きな人たちが自分の為に奔走し、記憶が戻らなくても根気よく方法を探してくれた事も。

何度も絶望する結果を見ても、誰も自分を見捨てずに守ってくれた事を。


（でも、どうしてゼウスお父様たちにも私が治せなかったんだろう？？？）


不思議に思っていると、何やら廊下から物凄い音が響いてきた。

その小宇宙を感じ取れた葵は顔を綻ばせる。


沙織「葵、目覚めたのですか！！？？」

「お姉ちゃん！！！」


葵はベッドから下りると沙織へダイヴした。


「お姉ちゃん、お姉ちゃん！！」

沙織「あぁ、戻ったのですね？　記憶が戻ったのですね！？」

「ぅん、ごめんなさぃ、ごめんなさぃ…！」

沙織「葵は何も悪くは無いのですよ？　記憶が戻ってよかった！」


姉妹の抱擁の後、沙織は早速ニケで青銅たちの頭をどつきながら起こし、喜びの中で朝食をいただいて聖域へ戻っていった。