しばらくすると、園内から子供たちがやってきて葵を取り囲んだ。


子供「葵お姉ちゃん！」

子供「お姉ちゃん、病気だって聞いたけど大丈夫？」


子供たちが心配そうに葵を見上げる。

記憶にはないが、何故かこの子達が愛しくてたまらなくなる葵は、まだ慣れないにも関わらず笑顔を作ってみせる。


「ありがとう、大丈夫だよ。このお兄ちゃんたちが一緒に居てくれるから。」

子供「お姉ちゃん、今からお花のお世話をするんだよ？」

子供「お姉ちゃんも一緒にやろうよ！」


子供たちが葵の手を引っ張る。

葵もそんな子供たちの気持ちを無駄にしたくなくて、了承して子供たちと庭弄りを始めた。

そんな葵の姿を星矢たちは微笑ましく見ていた―――。


瞬「クスッ、よく寝ているね。」


帰り道、葵は久々に庭弄りで体を動かして疲れたのだろう。

一輝にオンブされて帰っている途中、スヤスヤ眠ってしまった。


氷河「あんなに楽しそうな葵の表情を見たのは、久しぶりだな。」

紫龍「うむ。できれば、聖域や海界、冥界の面々にも見せてあげたかったな。」

氷河「記憶は無くとも魂は同じ。葵の優しさや植物への愛情も変わっていないな。」

星矢「記憶があろうと無かろうと、葵は葵だモンな！」

一輝「…それよりも、屋敷で今にも爆発しそうな小宇宙を感じるのだが。」

紫龍「確かに。これは辰巳だな。」

星矢「俺、スゲェ長ったらしい説教喰らいそうな気がするぜ？」

瞬「僕もそう思う；　どうしますか、兄さん。」

一輝「かまう事は無い。何か言ってくれば、こちらもそれなりに対処すれば良いだけの話だ。」

瞬「対処？」

一輝「軽く鳳翼天翔でもかましておけば、静かになる。」

星矢「間違いなく、永遠にな。」

瞬「ダメだよ、兄さん；　肉体言語は聖闘士だけにお願いします；」