春のように麗らかな気候、大地を全て覆い尽くさんばかりの花々。

冥界の彼方に存在する神々の楽園、エリシオン。

葵は其処に足を踏み入れている。


冥王「余の神殿で、ゼウスたちが待っておる。少し遠いゆえ、こうして参ろうか。」

「∑！？」


ハーデスは葵を横抱き、つまりはお姫様抱っこする。


「私、重い…///」

冥王「まるで花束のように軽い。行くぞ、ペルセフォネ。」


ハーデスの足取りは本当に重さを感じさせない軽々としたもの。

タナトスとヒュプノスもその後についていく。

ハーデス神殿へ近づく度に、葵はハーデスのキトンの襟をキュッと握る。


冥王「如何した？」

「…何だか、人がいっぱい居るのがわかる。どうして？」

冥王「ゼウスたちの小宇宙を感じておるのだろう。気配を察知しておるのだ。」

「小宇宙…。」

タナ「小宇宙はその者を現すのです。」

ヒュプ「ペルセフォネ様の小宇宙は、春の気候の如く、麗らかで優しい小宇宙を纏っているのですよ？」

冥王「そう。このエリシオンそのものを感じさせる小宇宙をお前は持っているのだ。」

「わからないです…。」

冥王「無理して思い出す事ではない。ゆっくりでいいのだ。」

「…はい。」


そして、一向はハーデス神殿へと到着した。