「エリ…シオン？」


翌日、皆で朝食をとっている時にハーデスは今日の行き先を告げた。


冥王「そうだ、今日は其処へそなたを連れて行く。」

「怖い、所？」

冥王「花が咲き乱れた楽園だ。安心せよ。」

「じゃあ、行きます…。」

冥王「しかし、人間である黄金たちは連れて行けぬ。それでもよいか？」

「え…？」

サガ「大丈夫だ、葵。お前が会うのはお前の血族だ、誰もお前を害しはしないよ。」

ムウ「えぇ。むしろ、貴女を愛してやまない方々。安心して行ってらっしゃい？　何かあっても、必ずハーデス神がお守りくださいますよ。」

シュラ「何の不安も感じる事はない。俺たちはここで待っているからお会いしてこい。」

「…怖いけど、行きます。」

冥王「良い子だ、ペルセフォネ。」


ハーデスに微笑まれて、葵も少し安心したらしい。

神代の時代に纏った服が残っていると言うので、葵はそれに着替えるためパンドラと退出する。


冥王「これで、ペルセフォネの記憶が戻ってくれれば…。ゼウスたちからも何か知恵を授かれればいいのだが。」

タナ「ハーデス様、どうかお気を落とさず…。」

ヒュプ「我らも微力ながらお手伝いいたしますゆえ。」

冥王「すまぬ…。」


しばらくすると、葵が着替えを終えて戻ってきた。

その愛らしくも美しい姿に誰もが目を見張る。


「変、ですか？」


ところどころに花柄が施されたキトン、アクセサリーも花形が多く、まさに春の女神降臨という感じだった。

思わず、跪きたくなるくらいに。


冥王「やはり、そなたはペルセフォネぞ。神代のそなたを思い出す…。さぁ、エリシオンへ参ろうぞ。」

「はい。」