メインブレドウィナを後にして、ポセイドン神殿へ向かいポセイドンにメインブレドウィナでの出来事を報告する。


海皇「空耳では無かろう。そなたは春という季節を司る女神。その特性ゆえに、全ての動植物との意思疎通が可能なのだから。」


生きとし生けるもの全てとの意思疎通が可能という特性ゆえ、春の女神になれたと言っても過言ではないだろう。

記憶を失っているとはいえ、女神の特性がほんの僅かでも残っている事は希望があるという事だ。


「ポセイドンさん、私に記憶と力が戻らなかったらどうなるの？」

カミュ「葵、それは今考えない方がいい。」

ミロ「そうだぞ？　無理して思いだそうとしても、それは君の精神と肉体に大きな負担をかける事になる。焦る必要は無いんだ。」


しばらく黙っていたポセイドンは、葵の髪を撫でる。


海皇「案ずるな、ペルセフォネ。いざとなればオリンポスにも救いを求めよう。何も恐れる事は無いのだ。」

「でも、でも怖い…。自分が元に戻らなかったら、何だか良くない事が起こりそうな気がするの。」

カノン「考えすぎだ。何があっても、俺たちがきっと守ってやる。」

「ありがとう、カノンさん。」

テテ「葵、少し疲れたでしょう？　お部屋に戻って少し休みましょう？」

「はい。」


テティスと共にその場を去った葵。

残された者は深刻な表情になった。


海皇「ペルセフォネは聡い子だ。本能で、己の力が失われる事への恐れを感じている。」

ミロ「あぁ、どうしたら葵の記憶が戻るんだろう…。何も出来ん自分が、こんなにも歯がゆい！！」

カミュ「諦めるな、ミロ。まだ、望みを捨ててはいけない。」

カノン「そうだ。きっと、何か方法があるはずだ。」


しかし、海界滞在中にとうとう葵の記憶が戻る事無く、一向は一度聖域へ戻る事となった。