こうして、またもや当事者である葵には内緒にして、グラード財団全面協力による３界合同ツアーが決行される事になった。

行き先はグラード財団総帥家・城戸家が所有する孤島。

気候はまるで南国の如し、温暖で、とても過ごしやすい美しい島。

城戸光政が可愛い（×∞）孫娘２人のために島１つを丸ごと買い上げた。

その広さ、実に東京ドーム千個分。

金が余りきった金持ちの道楽を絵に描いた如く、無駄にでかいホテルをおったてた。

しかも、海外のお城や宮殿に住んでみたいと言っていた葵の為だけに、内装は豪華海外宮殿風に設計し、部屋数は無駄に多い二百室。

さらに、退屈させるなんてもってのほかと言うので、沙織と葵の好きな施設を次々と建設、増設していったのだ。

例世界中にある高級スパを集めたグラード・スパ、世界中にある遊園地の優れた遊具を一堂に集めたグラード・遊園地、無いブランドを探せというのが無理なほどブランドをかき集めたグラード・ショッピングモール、挙げればキリが無いので後の施設はエトセトラ。

島では生活に欠かせない全てのライフラインがちゃんと使えるし、使用人にも事欠かない。

ここまで来れば、さぞ都会的な島と思われるだろうが、そうでもない。

光政は孫の言い分を聞きながら、その島の生態系を狂わせる事を憂慮し、最大限で自然を手付かずにしたのだ。

そして、この島の先住民の意見も最大限受け入れていったのだという。

先住民たちは、かつてこの島にある神が封印されていたと言い、無駄に島を荒らすなと警告をしていたのだ。

光政はその意見を尊重し、今以上の施設を増設する事はけして無かったという。