冥王「では、また一月後にな、ペルセフォネ。」


ハーデスは葵の頬にキスを落とす。

葵もお返しにハーデスの頬に可愛くキスをする。


「寂しいな。もっと皆とお話したいよ。」


葵はハーデスにギューっと抱きつく。


冥王「仕方なかろう？　何日も治める世界を留守にしては、冥界は混乱してしまう。余とて、寂しいのだぞ。」

沙織「葵、また一月後に皆と会えるのですから、それまで我慢しなくてはね。」

「お姉ちゃん。」

沙織「何ですか？」

「いつか、いつもパーティーしている皆と、どこかにお泊りしにいけたらいいね。」


葵の満面の笑み、花の顔（かんばせ）にその場に居る全員が魅了された。

（しかも、無意識下での表情なのでなおのこと効果絶大。）


沙織『ハーデス、ポセイドン。』

冥王『アテナ？』

海皇『どうした、小宇宙で通信とは。』

沙織『数日後、葵をおつかいに行かせます。』

冥・海『という事は……。』

沙織『葵のお願いです。もちろん、叶えてあげねば！　えぇ、何よりも最優先で！！　グラード財団が全力を持って旅行の手配をいたしますわ！』

冥・海『異議なし！』


こうして、即断即決。

知恵の女神アテナは、その持てる知恵全てを振り絞り、次の日には葵を冥界と海界におつかいに行かせたのである。

もちろん、以前のように手紙の中身をけして見てはいけないと申し付けた上で。