探した。

全身全霊をかけて、全神経を集中して誰もが葵の痕跡を探そうと必死だった。

だが、彼女の痕跡を見つけることはかなわず、日も落ちたので別荘へ戻る。

唯一の手がかりである覚えの無い小宇宙、それを僅かに感じ取る事が出来ただけで。

全員で集まった広間には重苦しい沈黙が続く。

皆の中心であった葵が居ないだけで、誰もが暗い気持ちに支配される。


沙織「葵、一体何処へ行ってしまったの……！」


沙織の嗚咽が響くと、それが次々と女性陣に伝染する。


パン「どんなに心細い事であろうか…！　代われるものならば、私が代わってやりたい！」


テティス、シャイナ、魔鈴も両手で顔を覆い、静かに嗚咽を漏らす。

でも、この中で一番悔しい思いをしているのは………。


冥王「余は、愛する者１人満足に守れぬのか。」

タナ「ハーデス様。」

冥王「何があろうとも、命に代えてもペルセフォネを守り抜くと心に決めて、彼女を后に迎えたというのに、なんというザマだ！！」


普段、物静かで感情を滅多に露わにしないハーデスがここまで怒りと憤りに満ちている。

ポセイドンも、アテナも、双子神すらも見た事が無いハーデスの取り乱しよう。

そこに、彼のペルセフォネへの深い愛情が汲み取れる。