会話や表情はとても優しげなサターン。

だけど、葵はとても彼が怖かった。

その笑顔の下が覗けない。


サターン「私は君を天界一幸せな后にしようと思っていた。だが、君の父ゼウスは僕を一方的に敵とみなし、オリンポスの力を持って私を天界から追放し、この名も無き島へ封印した。君が此処に来ると知った時は、やはり私たちは結ばれる運命にあると確信したよ。」

「でも、私は聖域に戻らなきゃ。」

サターン「おや、何故？　あんな者たちは忘れなさい、ペルセフォネ。君は此処で暮らすんだ、私の后として。もう、君は聖域にも、海界にも、冥界にも帰しはしない。」

「でも、皆が心配するもの！」

サターン「あんな奴ら、もう君とは関係ないんだ。この私の后となるからには、もう接点なんてない。さぁ、忌まわしき過去は捨てて、新たな幸せを築こう。ペルセフォネ。」


サターンはゆっくりと私に近づいてくる。

それがとても恐ろしくて、私は彼の手を振り切ってその場から駆け出す。


「やだっ、怖いよ！　お姉ちゃん、ハーデス！！」

サターン「ふふっ、本当に君は可愛らしいね。そんなに恥ずかしがらなくてもいいじゃないか。それに、君はここから出られない。私が全ての出入り口を封鎖しているからね。」


葵はすぐにサターンに捕まった。


「やぁ！」

サターン「大丈夫。君は今、少し混乱しているんだ。私と幸せになるのが嬉しすぎてね。少し、休もうか。神殿に君の部屋を設えさせたんだ。さぁ、行こう。」

「やだ、皆の所へ帰りたいよぉ！！」

サターン「フフッ、本当に愛らしいよ、君は。」


サターンは嫌がる葵を抱え、そのまま神殿へと消えていった―――。