翌朝、何も知らない葵は島に着いたことをいたく喜び、はしゃいでいた。

海で遊んだり、遊園地で遊んだり、買い物しようと出かけたり。

しかし、その周りは常に３界の闘士の誰かがいて、気を研ぎ澄ませている。

いつ、かの者が葵を拉致するかわからない以上、一瞬でも気を抜けないのだ。

島滞在の一日は、その状態で過ぎて行った。


「それでね、今日ね……！」


夕食は見るも豪華なディナーが用意され、給仕の者がアチコチで忙しく動き回っている。

そんな中、葵は一生懸命に今日の出来事を皆に話している。

頬を紅潮させ、身振り手振りで離す葵は本当に愛らしく、皆が微笑んで話を聞いていた。

気の抜けないこの旅であっても、彼女の笑顔を見ると安心できる。

癒されて、自然と笑顔が溢れる。


「ポセイドン、明日、イルカさんたちと遊ばせてくれる？」

海皇「いいぞ。イルカの群れを呼んでやろう。」

テテ「どうやってイルカと遊ぶのですか？　葵様。」

「一緒に泳ぎたいなぁ。」

デス「葵、泳げんのか。」

「浮き輪があれば泳げるもん///」


沸き起こる笑い声。

そして、再び心する。

この幼き、心清き女神をけしてかの者へ渡してはならないと。