葵の神格は、あの冥王ハーデスの妻ペルセフォネなのだ。

大地の女神デメテルと大神ゼウスの娘である。

春の女神として生を受け、血の気の多いギリシアの神々の中でも最大級の癒し系女神様なのだ。

母デメテルも、父ゼウスも、数多く存在する兄弟、姉妹、皆ペルセフォネを可愛がり、愛していた。

その中でも最も熱を上げていたのがハーデスで、半ば誘拐という形でペルセフォネを冥界へ連れ去り、妻にした。

それがペルセフォネの大体の経歴だ。

葵がそのペルセフォネとして目覚めたのは、ハーデスの聖戦が終わった直後。

聖戦の犠牲者たちが甦り、聖域の復興が始まらんとした時、いきなり聖域にテレポートしてきたのだ。


沙織「Σ葵ではありませんか！　どうして聖域に！？」

「お姉ちゃん、しばらくこっちに居るんだって辰巳さんに聞いたから来たの。」

沙織「でも、貴方は先ほどテレポートしてきましたね？」

「？　うん。」

沙織「今まで、そんな事できなかったでしょう？」

「できるようになったの。あのね、私もお姉ちゃんと一緒で『神格者』なんだって。お父様が教えてくれたの。」

沙織「お父様？」

「うん、ゼウスお父様。」

沙織「なんですってぇえええ～～～！！？？」


その後、聖域に沙織の大絶叫が響き渡ったことは言うまでも無い。

そして、その場に集まってきた聖域中の聖闘士たちに向かい、葵はちゃんと挨拶をした。


「えっと、城戸葵です。沙織お姉ちゃんの妹です。」

シオン「アテナの、妹君？」

沙織「えぇ。血の繋がりはありませんが、一緒に姉妹として育てられたのです。ですが、葵。貴方も神格者と大神ゼウスが仰ったという事は、神格者としても妹というわけですね？」

「うん。」

サガ「失礼ながら、『神』としての御名をお聞かせ下さい。」

「大神ゼウス、大地の女神デメテルの娘。春の女神ペルセフォネです。この間は、ハーデスが皆に酷い事してごめんなさい……。」

全員「「えぇえ～～～！！？？」」


聖域中が揺れる様な、小宇宙入りまくりの絶叫が響いた。