食事もほぼ終わり、茶を飲んでいると沙織がこれよりはダンスパーティーにしましょうと提案した。

ならば主役の葵には次々と自分とという者たちがやってくる。

それを見越した沙織はクジを作っておいたと箱を出した。


沙織「この番号の順番で踊りましょう？　もちろん、皆さん踊れるようにしてありますから喧嘩は無しですわよ？」


皆でクジを引き、せーので開けた。


冥王「余が１番らしい。」

海皇「ほぅ、よほどクジ運が良いのだな、ハーデス？」

冥王「褒めの言葉、嬉しく思うぞ？　ペルセフォネ、余と共に踊ろう。」

「うん。」


ハーデスのリードで葵は会場の真ん中へ。

ゆっくりとした音楽が流れてきて、２人はまるで練習をしてきたかのように完璧なステップを踏んでみせる。

葵がターンするたびにドレスの袖が大きく揺らめき、刺繍の花がまるで本当に舞い散っているかのように見えた。

上を見れば、ハーデスが優しく微笑んでくれている。

チラリと周りを見れば、微笑んで皆が見てくれている。

葵はとても幸せな気分になった。

一曲終われば、次なる者が待ち構えている。

疲れなどまるで感じず、葵は次々と踊り続けた。

ある者は優雅にリードして、ある者は不器用にギクシャクして、ある者は耳元で口説きの言葉にも似たそれを口にして。

男性群とは一通り踊り終えたが、葵はまだ物足りなかった。


「ねぇ、女の子たちも一緒に踊ろう？」

女子ズ「「えっ？」」

「せっかくだもん、皆で踊ろう？」


葵の満面の笑みを見せられては誰も断れまい。

女子たちも次々と葵と踊りだす。

誰が男役女役というのではなく、共に軽やかなステップを踏み、男性たちの目を奪わんばかりの美々しさだった。