★序章★

ハーデスとの聖戦後、女神アテナは聖域へ長く留まる事になった。

海界と冥界との和平交渉、今までの聖戦での被害をまとめて然るべき処置を指示する事、地上の女神として毅然とその使命を全うしている。

しかし、そんな聖域にも大きな変化があったのだ。

それは、聖域にアテナの他にもう一神、女神が舞い降りてきた事―――。


沙織「では、シオン。１２宮の修繕の予定はこのように進めてください。特に処女宮は損害が酷く、このままではシャカも無宿状態ですからね。居住区の修繕を優先するように。」

シオン「はっ。さっそく手配いたします。」


教皇の間では沙織、シオン、サガを筆頭に黄金聖闘士たちがそれぞれの仕事机に座り、慣れないデスクワークに没頭していた。

時計もそろそろ休憩の時間を指そうとしていたその時。


？「お姉ちゃん。」


その声に、教皇の間にいた全員の視線が扉に注がれる。

扉が開くと、なんとも愛らしい少女がトコトコ入ってくる。


沙織「まぁ、葵　どうかしましたか？。」

「あのね、女官さんたちがそろそろ教皇の間にお茶を差し上げましょうってお話ししてたから、葵も一緒にどうぞって。」


この愛らしい少女の名は葵、年齢は１２歳。

沙織とは血の繋がらない姉妹になる。

ピンク色の腰まであるロングヘアー、すみれ色の瞳。

その姿は、まるで花の精。

だが、葵はただの人間ではない。

沙織と同じ『神格』を持って生まれた少女なのだ。