シオン「皆、ここは葵に任せようぞ。」

カノン「教皇！？」

童虎「察するがいい。葵がここまで言えばてこでも動かん。」

「そういう事。早く行け、崩壊の巻き添えを喰らいたいか！」


崩壊はその速度を速めている。


童虎「行こう、皆。じゃが葵、１つ約束せい。」

「何だ？」

童虎「必ず、無事に戻るのじゃ。無論、アテナも無事にお連れするのだぞ？」

「あぁ、必ずな。」


葵はそう返事すると、降り注ぐ瓦礫の中へ身を躍らせ、その姿はすぐに消えた。


シオン「皆、ルルイエの入り口まで駆け抜けるのじゃ！！」

聖闘士「「はいっ！！」」


光速の動きをもってルルイエの入り口まで行くと、聖域から突入した空間の穴にポセイドンとハーデスの姿があった。


冥王「聖闘士たち、早く結界の中に入れ！！」

海皇「ここならば、崩壊に巻き込まれぬ！」


その声に聖闘士たちは２神の結界に滑り込み、息をついた。


瞬「パンドラや三巨頭は！？」

冥王「彼らは救出した女性達と共に先に地上へ送り届けた。全員無事だ。」

氷河「よかった。後は、沙織さんと葵さんだけだ…。」


ルルイエは、既に大半が崩壊している。

まるで、奈落へ落ちていくように魔都は空間の底へ呑み込まれていく。


シオン「葵、アテナ…！」


厳しい表情で崩壊を見守っているシオン。

その横にいた童虎も同じ表情だ。


童虎「葵、時間がないぞ…！」