頭部は蛸に似て、顔面は人間で言う鼻や口当たりが無数の蛸の足のような触手で被われ、山の様に大きなゴム状の躯は鮫の鱗が被っていた｡

人間的な四肢には巨大な鈎爪があり、背にはドラゴンに似た翼を持っている｡


封真「我こそは、旧支配者と呼ばれしルルイエの神々の一柱…クトゥルフなり！」

「クトゥルフだと？　まさか、クトゥルー神話の！？」

シオン「何と…！」

星矢「葵さん、シオン。何だよクトゥルー神話って！？」

童虎「ルルイエには何柱もの神が存在している。じゃが、クトゥルフはその中でも司祭の役を司る。それ故に、その神よりも精神分野では秀でておる。じゃから、精神攻撃など朝飯前よ。ならば、紫龍たちが小宇宙を封じられ、身体の自由を失ったのも頷ける。」

シオン「そして、クトゥルフは世界中で様々な伝説に現れる邪神。クスルウー、クトゥリュー、クトゥルフ、ク・リトル・リトルもクトゥルフの別名に過ぎぬ。そして、アジア圏では九頭龍という呼び名も存在している。」

「迂闊だった…。一文字違いではあるが、正体を暴く材料は名前に隠されていたのに！！」

封真「ハッハッハ！　今更気付いても、もう遅い！　さぁ、死への秒読みだぞ！！！」


クトゥルフと化した九頭竜は、凄まじい攻撃を開始。

黄金や青銅、葵も防戦一方になってしまった。


星矢「くっそぉ！　このままじゃなぶり殺しだ！」

氷河「せめて、せめて…アテナだけでも助けなければ！」

瞬「だけど、クトゥルフの攻撃が一向に止まない！　少しだけでも隙が生じれば…！」


希望とは裏腹に、そんな青銅たちへ隙が出来た。


封真「若いだけあって、まだまだ未熟よ！　くらえぃ！！」


クトゥルフの鈎爪が３人をまとめて薙ぎ払おうと迫ってくる。


３人「「しまった！！！」」

カミュ「いかん、氷河！！！」

アフロ「アンドロメダ！！」

リア「星矢！！」


３人は防御の体勢に入るが、おそらくこの強烈な一撃は…命ごと自分達を薙ぎ払うであろう。

もはや此処までかと諦めた瞬間、３人は思い切り突き飛ばされた。

今まで自分達がいた場所を振り返ると、そこには葵が身代わりになるように立っている。


「簡単に諦めるな、馬鹿。」


その言葉を聞いた瞬間、彼女の身体がクトゥルフの鈎爪に弾き飛ばされた。