シュラ「あれは、一体…！？」


後方に下がったシオンたちも驚きを隠せずに居た。

普通、聖剣で腕を切断すれば大量出血は免れず、その痛みにのた打ち回っているはずだ。


童虎「やはり、ロンギヌスか…。」

シュラ「ロンギヌス？」

シオン「葵がかつて余たちに話してくれた新しい技の１つじゃ。」


ロンギヌス、またの名を『烈火の聖槍』。

技の分類を化学的に名づけるなら『プラズマ・ジェットビーム』である。

炎とは燃焼中の気体であり、燃焼温度が数万度を越えると如何なる物質でもプラズマ化できる｡

技を受けた部分は瞬時に蒸発し（爆発的蒸発）、どんなものでも切断可能。

更に、相当な圧力で蓄えられていた濃密なプラズマが、ジェット噴射されるように直線状の光線として放出される。

聖剣では届かない場所に居る敵へ攻撃する為、葵がフランベルクを改良して開発した技。

その名の通りに槍にもなるが、鞭としても扱える超熱線攻撃である。


童虎「前世では実現不可能のままに終わった。それが今、こうして完成を見るとは思わなかったのぅ。」


葵はダゴンたちが驚いている隙を突き、瞬間移動でパンドラを救い出して仲間達の所へ戻る。


「ラダマンティス、パンドラを頼んだ。」

ラダ「すまぬ、葵。」


葵からパンドラを託されて、ラダマンティスは地面に彼女をソッと降ろした。


アイコ「パンドラ様、パンドラ様！」

ミー「…気を失っていますけど、命に別状はなさそうですよ。」


ミーノスの診断に、皆がホッと胸を撫で下ろした。


「お前達はここから一歩も前に出るな。」

星矢「葵さん？」

「あいつらは私が倒す。先ほど見せ損ねた技も見せてやるから、しっかり目に焼き付けるがいい。」


葵の艶やかで挑発的な笑みを見て、誰もが見惚れてしまう。

そして、彼女は１人でダゴンたちの前に進み出た。