葵の参加に喜んだのはアテナ護衛組、童虎、アイオロス、カミュ、アフロディーテである。


童虎「ほほぅ、葵も来るのか？　そなたがこういう華やかな席に参加するのは初めてであろう？」

ロス「へぇ～。じゃあ、今までパーティードレスとか着た事無いのかい？」

カミュ「こういう席にはダンスなども必須だろうから、エスコートできるかもしれないな。」

アフロ「君さえ良ければ、衣装や髪型、化粧を私がコーディネートするよ？」


葵を囲み、それぞれに声をかける。

それに危機感を覚えたのは居残り組の連中。


シオン「アテナ、私は貴女様の補佐でございますれば、私もお連れ下さいませぬか？」

ムウ「我が師シオン、貴方はアテナ不在時の聖域最高責任者ですよ？　おいそれと聖域を離れられては困ります。代理として私をお遣わし下さい。」

アル「護衛というならば、私ではいけませんか？　この体で、アテナの盾となりましょう。」

サガ「顔立ちで勝負というのなら、このサガ、誰にも負けません！」

カノン「お前は社交界など無縁だろうが。その点、俺はポセイドン様の護衛で社交界慣れしている。俺が行く。」

デス「おめぇらにセレブの世界がわかるかっての。俺を連れてけ、俺は場慣れしてっから役に立つぜ？」

リア「兄さんが行くなら、俺も行っていいのでは？」

シャカ「宴とはいえ、邪な輩どもがアテナや葵を狙わぬとは限らん。ここは私が出向き、怪しい者どもを片っ端から六道送りにしてしんぜよう。」

ミロ「はいはい、俺も行きたいっっ！」

シュラ「こういうのは、同じ山羊座として一緒に行く方が何かと融通も利くんじゃないかと思うが。」


さっきまで散々ごねていた連中が、ころっと掌を返した。

しかし、それを「はい、そうですか。」と認めるような女神ではない。


沙織「先ほどまで、ややこしいだの何だのと、散々役目を押し付けあっていたのは何処のどなたたちですか？　貴方がたは大人しく、心置きなく、聖域の守護と任務と執務に没頭していなさいね？」


表情はニッコリとしているが、その小宇宙は何処までもドス黒い。

その小宇宙に生命の危機を感じた黄金たちは、渋々と日本行きを諦めた。


沙織「では、善は急げと申します。今から日本へテレポーテーションしましょう。護衛の皆さんの衣装もあちらで揃いますので、特に用意していく物もないでしょう。シオン、くれぐれも後の事は頼みましたよ？　いじけて執務や任務を滞らせる事など無いように。」

シオン「お、仰せのままに…；」


こうして、沙織、葵、童虎、アイオロス、アフロディーテ、カミュの６人は聖域から日本へとテレポーテーションしていった。