シオン「葵、無事か！？」

「シオン。あぁ、何とかな。」


陀金と妃藤羅が地に伏したのを確認すると同時に、シオンたちがその場に駆けつける。

シオンは陀金と妃藤羅を確認し、ゆっくりと彼らに近づく。


シオン「アテナとパンドラを攫うなど、大それた罪を犯したものだな、Ｄｅｅｐ　Ｏｎｅｓ。」

童虎「葵も手加減をしたはずじゃ、死にたくなければアテナたちの元へ連れて行け。」


絶体絶命というならば、この場面にこそふさわしい。

しかし、彼らにはそうではないようだ。


陀金「クックック…。」

妃藤羅「フフフ…。」


カラカラの喉の奥から渇いた笑い声を出す。

まるで、慟哭の声にも聞こえるがそうではない。


ミロ「何がおかしい！！」

リア「早くアテナたちの元へ連れて行け！！」


しかし、その声すら聞こえていないと言わんばかりに２人の笑い声は徐々に大きくなっていく。

精神でも崩壊したかと周囲が思う中、葵はその本能で危険を察知した。


「やばい…、皆、下がれ！！！」


葵が慌てて後方に下がると、周囲も首を傾げながらそれに従った。

その直後、２人から信じられないほど強大な小宇宙が立ち上る。


ラダ「何だ、この小宇宙は！？」

ミー「瀕死の筈なのに、この小宇宙は…！」

アイコ「まだ、こいつらには隠された何かがあるのか！？」


強烈な闘気の渦が発生し、竜巻状態になる。

葵達はそれぞれ小宇宙の結界で我が身を守り、その状態が治まるのを待った。


（何だ、この気配は…。まるで、全く違う存在が現れた様な…。まさかっ！？）


濛々と舞う土埃、それが晴れた時、全員の表情が固まった。

有り得ない光景が広がっている事に。