星矢「ぅわ…；」

瞬「これは、葵さんがやったのかな…？；」

氷河「だろうな、傷口は鋭利な刃物に斬られているように見える。」


ルルイエに無事到着すると、そこには半魚人たちの骸が延々と続いていた。

この骸を追っていけば、葵の進行方向という訳だろうが…凄まじい。

とりあえず、この骸を辿って行こうという事になり、皆が走る。

しばらく走ると、少しばかり開けた場所が見えてきた。

そこに足を踏み入れた瞬間、全員の顔がひきつった。


童虎「これはまた…；」

シオン「エグいな…；」


表現しようのない凄惨な光景に、皆が恐怖を感じている。

それぞれに息を呑んでいるが、同期の２人は冷静に状況判断していた。


童虎『シオンよ、覚えているか？』

シオン『当たり前だ。』


二百数十年前、葵から聞いた開発中の必殺技。

その１つが、この光景を生み出すのに当て嵌まっている。


『でな、ジェノサイド・ブレイド…殲滅の斬撃なんだが、これは多対一の場合に効果を発揮するんだ。』

シオン『多対一？　しかし、アテナの聖闘士は…。』

『あぁ、聖闘士の戦いは一対一が身上。だが、敵がそうとは言えまい？　むしろ、違う場合の方が多い。その時の為に開発している技だ。』

童虎『だが、一撃一撃がクレイモア以上だろう？　近くに居ては危なっかしいな；』

『それがネックだ。仲間が側に居ては巻き添えを喰らわせる。だからといって加減して放てる自信も無いし、これが解決できれば完璧なのだが…。』


結局、前世では考案だけで実用不可能のままに終わっている。

それが、目の前に完成形で広がっている事に、２人は鳥肌モノだった。


童虎『まるで、敵の間を縫うように…舞うように斬り刻んでおる。』


童虎の脳裏には、パーティーで踊っていた葵の姿が浮かんだ。

その力みなぎる踊り、ステップ、その全てが魅了されるに充分だった事も。


童虎「フッ、…さもありなん。」

シオン「童虎？」

童虎「いや、独り言じゃ。っと…、皆、良く聞けっ！」