門を潜り抜けたその場所は、いかにも異界である。

手にしていた石片と同じ材質の石柱が幾重にも折り重なったルルイエ。

本能的にその場所に嫌悪感を感じて、葵は顔をしかめた。


「胸糞悪い…！」


ふと視線を上げると、はるか最深部に神殿のような建物が見えた。

小宇宙を探ってみると、異様に巨大で邪悪な小宇宙とアテナの小宇宙が僅かながらに感じられ、彼女がそこにいる事を示している。


「目標はあの神殿だな…。アテナの側にあるこの小宇宙が親玉か。問答無用で３枚おろしの刑確定だな。」


葵はこれ以上時間に余裕はないと踏んで、回り道は一切せずに一直線に神殿を目指してた。

しかし、いち早くそれに気付いたのであろう。

Ｄｅｅｐ　Ｏｎｅｓ達が何処からか沸いて出て、一瞬で葵を取り囲む。

そして、問答無用で戦闘が開始された。

拳を交えて最初に脳裏に浮かんだのは、Ｄｅｅｐ　Ｏｎｅｓがパワーアップしている事。


（地上の時よりパワーアップしている？　…ルルイエが復活した影響か！）


だが、葵も負けていられない。

アテナをなんとしても救い出すという誓い、敵はもれなく抹殺という物騒な誓いが彼女を奮い立たせているのだ。

ここまで戦いに挑もうとするのは、前聖戦以来だと葵も自覚している。


「この、大エラ張りの半魚野郎どもが！　最強の姫君自ら成敗してくれるぞ！！」


彼女の小宇宙は急上昇し、その両手から必殺技、エクスカリバー、フランベルク、クレイモアが雨あられの如く半魚野郎どもに降り注ぐのであった。

（クレイモアに関しては、小宇宙の操作が上手くいくようになったので安心してお使い頂いております。←天の声。）

ルルイエは今、特攻野郎Ａチームならぬ特攻エクスカリバーが乱舞し、地獄絵図さながらの事態に陥ったのである。

葵が目指すのは、アテナの小宇宙が感じられる神殿ただ一箇所だ。