聖域では、僅かではあるが休息を取って回復した者も加え、様々な方法が試みられていた。

更に情報を得ようと書物と格闘する者、サガやカノンを始めとした異次元へのアクセスが得意な者による異次元での捜索。

しかし、どれも効果は無かった。


海皇「まさか、ここまで厄介な相手であったとは…。」

冥王「オリンポスだけが有能とは限らないという事か…。」


ハーデス、ポセイドン、タナトス、ヒュプノスも神々における叡智を総動員しているが、これも効果がさほど上がっていない。

皆が集う中、葵だけがその場に居ない。

彼女はシオンに許可を取った上で、書物庫の奥深くで根気良くルルイエに関する資料を調べている。

その甲斐あって、ある文章を見つけた。


「やはり、あの石片はルルイエの欠片か…。」


図解と説明が書かれていて、それはまさしくあの石片。

そして、当時の聖闘士がＤｅｅｐ　Ｏｎｅｓへ尋問した結果も載っていた。

どうやら、石片の大きさによってルルイエへ入れる人数が限られるという。

大きければ大人数、小さければ少人数という事だ。

この小さな欠片では、団体は難しかろうと葵は悩む。


（まず、これを使って私１人でルルイエに先行して、結界や異界への移動装置をぶち壊す。結界を張れなくして、移動も出来ない様にしてから救出隊に連絡を入れれば…。救出隊が来てからでは遅い、合流するまでにアテナとパンドラを探す方が効率も良い。）


葵は本を元の場所に戻した。


（まぁ、敵も迎撃体制で来ると思うが…。フフフ、もれなくぶっ殺す！！！）


ここまで考えがまとまれば話は早い。

葵は密かに教皇宮を抜け、聖域の外れまで来ると小宇宙を控えめにしてテレポートした。


（目指すはニュージーランド、九頭竜グループの海上施設跡！）