三巨頭の謝罪を聞き、ハーデスはため息をつく。


冥王「面を上げるがいい、三巨頭。余は今回の事を責めようとは思わぬ。」

三巨頭「「ハーデス様！？」」

冥王「敵の詳細は教皇より聞いておる。今回ばかりは敵が悪い、そなたらを責めようとは思わん。」

「ハーデス…。」

海皇「左様、今回の敵は今までの敵と根本的に違うのだ。」

ヒュプ「我らと同じ神でありながら、我らの知らぬ場所で祀られ、恐れられている神。」

タナ「お前達はよくやっている。それに、アテナやパンドラは早々簡単にやられる者ではない。今しばらく、猶予があろう。」


しかし、尻に火が付いている聖闘士たちはそんな悠長な事を言ってられなかった。


リア「しかし、今すぐにでもアテナを救出に行かねば！」

ロス「そうだ！　あの九頭竜たちはアテナとパンドラを生贄にすると言い放ったんだ！」

ミロ「猶予など、無いに等しい！　今すぐにでも敵地へ乗り込んで、アテナとパンドラ、他に捕らわれた女性達を救い出すべきではないか！」

冥王「静まれ、聖闘士。」


ハーデスは静かに言ったのだが、それは果てしなく強制力がかかっている。


冥王「敵は我らギリシャの神と異なるとはいえ、神である。下手をすれば我らより強き者かも知れぬ、敵の領内に入れば奴らの有利になる結界などが用意されているかも知れぬ。そんな者の相手がまともに出来るのか？」


ハーデスがそう言うと、頭に血が上っていた連中も静かになる。


冥王「それに、そもそも消えたルルイエへどうやって向かうつもりだ。あれは今、異界に姿を消しているのだぞ。」


それが止めになって、教皇の間はシーンとなってしまった。


海皇「…暗緑の魔都、辿り着きたくば都の一部を捧げよ…だったか。」


ポセイドンの独り言にも似たそれに反応したのは葵。


「ポセイドン、それは如何なる…？」

海皇「神である余が忘れかけるほど…大昔に聞いたおとぎ話だ。」


聞かれてしまったかと、ポセイドンは苦笑する。


海皇「いや、このような非常事態にそんな事を口にするべきではなかったな。すまぬ。」

「いや、いいんだ…。」


そして、帰還してきた聖闘士と冥闘士は、シオンが作っておいたルルイエに関する資料を分析する事にして、机のある会議室へと場を移していった。