フードの下から現れたのは、にこやかに微笑む少年。

九頭竜グループの若き総帥、九頭竜封真その人であった。


パン「これは、どういう…！？」

沙織「…もう一度お聞きしますわ、九頭竜総帥。これは一体どういう事です！」


沙織の詰問にも関わらず、九頭竜は優雅に微笑む。


封真「私が真の肉体を取り戻す為、強いては、我等が同胞の復活の為です。」

沙織「それは、一体…！？」

封真「それはこの後にわかりますよ。」


そこに、半魚人が慌ててやってくる。

未だ跪くフードの２人に何やら囁くと、すぐに戻っていった。


？「九頭竜様、例の聖闘士・冥闘士へ送った刺客がことごとく全滅したようです。」

パン「その声は、秘書の陀金！？」


パンドラの声にその者がフードを取ると、まさしく九頭竜封真の秘書の１人、陀金守人だった。


陀金「ごきげんよう。アテナ、冥王の姉君。ここに貴女達をお連れしたのは私ですが、お怪我が無くて何よりと存じます。」


これまた、悪意の見えない笑みを見せる。


封真「流石は名高いアテナの聖闘士、ハーデスの冥闘士だ。あの者達には些か荷が重すぎたか。」


味方が全てやられたというのに、何の感情の起伏も見せない少年が沙織たちには恐ろしく思えた。


陀金「恐らく、ここが見つかるのも時間の問題。されど、我等の聖地が浮上するにはもうしばらくの時間が必要です。それに、他にも報告が…。」

？「それは私から。あぁ、自己紹介をしていなかったわね。…これでいいかしら？」

沙織「妃藤羅、禍鱗…！」


最後の１人も九頭竜の秘書、妃藤羅禍鱗であった。


妃藤羅「九頭竜様、何者かが単身で乗り込んできたそうです。我等が時間を稼ぎますゆえ、どうか『鍵』と共にお待ちください。」

封真「うむ、行って来るがいい。」

妃藤羅「はっ、では！」


妃藤羅は手勢を率い、侵入者の迎撃に向かった。