一方、何者かに拉致された沙織とパンドラ。

彼女たちは閉じ込められていた部屋から表に出て驚いた。

そこは、美しい紺碧の海上に建設されている近代的な施設だったから。

目の前にあるヘリポートらしき場所では、迎えに来た者と同じく目深にフードを被った人物が２人立っている。

沙織が何者かと口にしようとすると、いきなり下から突き上げるような大きな振動が起こる。


沙織「きゃあ！！」

パン「くぅっ！！」


２人はたまらず地面にしがみついた。

だが、フードを被った３人組やあの半魚人どもは微動だにせず、その振動が収まるのを待っている。

やがて振動が収まると、一番小柄なフードの人物が呟いた。


？「…時が来たようだ。」


その声に、残りの２人と半魚人は跪き、フードの２人組は声をそろえて口上する。


？「「悲願達成、おめでとうございます。」」


沙織とパンドラは一連の流れから、この一番小柄な人物がここに居る者達の頂点と察した。

沙織は地面に伏せた身体を起こし、先ほど出来なかった問いを口にした。


沙織「貴方がたは、何者ですか！？　何が目的で、私やパンドラ、九頭竜総帥を拉致したのです！？」


その声に、一番小柄な人物は沙織たちの方へ振り向く。


？「おやおや、随分な言われようですね…。」

沙織「！？」

パン「その…声は！！」

？「一度、我が社を訪問してみたいと仰ったのは貴女達ではありませんでしたか？　城戸沙織嬢、パンドラ・ハインシュタイン嬢。」


その者はフードに手をかける。


？「それとも…、現代に甦りしギリシャ神話の戦女神アテナと、冥王ハーデスの姉君と申し上げましょうか？」


そのフードが完全にめくられて、沙織とパンドラは驚愕した。


沙織「貴方は…！」

パン「馬鹿な、一体どういう事なのだ！？」