シオンは法衣を翻しながら瞑想の間を出て、教皇宮の最深部にある書物庫へ入っていく。

そこは埃だらけで、薄暗く、所々クモの巣が張っているような場所だ。

シオンの法衣や髪の毛に埃やクモの巣が引っ付き、忌々しそうにそれを払う。


シオン「近々、ここも大掃除して本の修理や虫干しをせねばな…！」


この事態が収集したら、黄金たちをここぞとばかりにこき使い、劇的ビフォーアフターもびっくりな書物庫にせねば。

スペースを設けてカフェのようにおしゃれな読書コーナーを作るのも悪くはないだろう。

シオンは少しリフォームを考え、目的の書物のある棚へ向かった。

目的の書物を見つけたが、分厚いカバーは埃だらけで色が変わっていた。

その埃を払うと、シオンは近くにあった低い本棚の上にそれを置き、目の前にある窓を開け放した。

そのページめがけ、一気にめくる。

やがて、そのページに到達して文字を目で追う。

時は数千年前から数百年前の、教皇たち直筆の記録である。


シオン「星は不穏な動きを見せ、遥か南の地で異変が起こるという事がわかった。その後、南太平洋、ニュージーランド沖合に突如として都市が浮上。同時に世界各地で精神に異常をきたす者が相次ぎ、聖闘士を派遣せざるを得なくなった…。」


周期はてんでバラバラ、ランダムにその異変は起こっていたらしい。

しかし、その都市が浮上する場所は決まっているようで、どれもニュージーランド沖合、南緯４７度９分、北緯１２６度４２分という場所に違いはない。

外見はあらゆる線と形が歪んでいる暗緑色の巨石で出来ており、所々から不快な緑色の液体が滲み出ているらしい。

そして、星辰がその都市にとって適正な位置に近づいたり、地殻変動が起こると封印が解けて浮上するという。

その都市には旧支配者の司祭が封印されて眠りについているとまで書かれていた。

更に、どの教皇も最後には似たような締めくくりをしている。


シオン「しかし、数時間ほどでその都市も再び海中に没し、大事に至らず…。更に、その都市の名を先住民がこう呼んでいた事を確認した…。ルルイエ、太古の邪神が…眠る魔都！！？？」


シオンはルルイエの名前を見て、次なる書物を漁りに本棚の中に消えていった。