沙織「ぅ………。」


沙織が目を開けると、そこは見知らぬ部屋。


沙織「ここは、…パンドラ！！」


同じ部屋にパンドラが倒れている。

彼女に駆け寄って声をかけながら、沙織は現状に至るまでを思い出そうとしていた。


沙織（確か、九頭竜総帥との商談で彼の別荘と言われる海際の館に行ったわ。そこで、パンドラにも出会って、一緒に商談をと九頭竜総帥に言われた…。商談を終えた途端、不気味な集団に襲われて…。）


その後、一輝たちと異形の者たちを撃退すべく戦っていた。

一般人の九頭竜たちが居ることで、大分と戦闘を控えめにしてはいたが。

その後の事を思い出そうとすると、沙織は鈍い頭痛に襲われた。


沙織「痛っ…！　た、確かあの時にも、こんな頭痛がっ…。」


少しばかり状況整理が出来た沙織は心の中で悔しがる。


沙織（まさか、こんな不覚を取るなんて！　聖戦ではハーデスすらニケ投げで倒せたというのに！　あぁ、悔しいっっ！！）

パン「うぅ…。」

沙織「はっ！　パンドラ、大丈夫ですか！？　パンドラ！？」

パン「あ、アテナ…。」

沙織「ご無事で何よりですわ。体は大丈夫ですか？」

パン「…あぁ、大事なさそうだ。しかし、ここは一体何処なのか…。」

沙織「私も目覚めたばかりですし、わかりません。ですが、何者かに拉致されえたのだと思いますわ。」

パン「…アテナ、九頭竜総帥は？」


パンドラの指摘に沙織は九頭竜が居ない事に気付いた。


沙織「私たちとは、違う場所に隔離されているのでしょうか…。」

パン「さて、ここからどうするか…。」

沙織「まずは、何者がこんな事をしたのかですね。おそらく、聖域と冥界へは知らせが行っているでしょう。彼らが助けに来てくれるのを待つか、自分たちでどうにかするか、ですね。」


その時、部屋のドアが開けられて何者かが入ってくる。

あのおぞましい半魚人を引き連れて、目深にフードをかぶった者が居た。

沙織はパンドラをかばいつつ、その者に問おうとする。


沙織「貴方がたは何者です！？　何が目的なのですか！？」

？「…まずはお立ちいただこう。話は歩きながらでも出来ましょう？」


ここで逆らっても勝ち目がないと悟り、沙織とパンドラはおとなしく言葉に従った。


？「さて、先ほどのご質問ですが…、貴女がたの目で直接確かめる方が早いでしょう。この建物の外に、全てがあります。」


２人は身を寄せ合いながら建物の外へ出て行った。


～続く～