一輝「フッ、確かに病み上がりの身にはキツイ話だな。」

「お前と紫龍は、私の地獄の短期レッスンを受けた身だ。言い方は悪いが、冥界との聖戦の時より戦闘能力は格段にアップしているはずだろう。」

紫龍「…確かに、奴らは手強かった。だが、ここまでやられるほど強かった訳でもない。」

バレ「では、何故君たちがここまで？」

「そうだ。このような重傷を負うのだ？」

一輝「それは、戦いの途中の事だ。俺たちはあの半魚人どもと戦っていたが、しばらくして体の自由が利かなくなってしまった。」

紫龍「そう。自分の意思で体を動かす事が出来なくなり、このような情けない姿に…。」

クィ「それだけではない。小宇宙すら自由に操れなくなったのだ。」


だとすれば、彼らとしても非常に戦いづらく、普段の力を発揮できないはずだ。


「実は、お前たちが襲われてアテナたちが攫われた後、私たちも怪しいと思う場所を探索に出た。しかし、お前たちが見たであろう半魚人、自らをＤｅｅｐ　Ｏｎｅｓと名乗った奴らにそのような事を仕掛けられた者は居ない。」

ミュー「サイコキネシスを駆使して体の自由を奪えても、小宇宙を完璧に封じるというのは私やムウでも無理です。」

ゴー「だとすれば、パンドラ様たちを襲った奴らの中だけにそういう能力を持った者が？」

ラダ「可能性はある。最初からパンドラ様、アテナ、九頭竜という人間を攫うつもりであれば。」

「敵は、思ったよりも厄介な連中みたいだな。」


葵の言葉に皆が彼女を振り返る。


「それがあのＤｅｅｐ　Ｏｎｅｓの仲間によってもたらされたものなら、奴らの仲間には類まれな精神攻撃に優れた者がいるに相違ない。この３人を同時に押さえつけられるだけの能力というならば。」

ラダ「葵、一度聖域へ連絡を入れてはどうだ？　教皇に伝えれば何かわかるかも知れんぞ。」

「そうだな。それに、童虎たちと合流する必要もある。一輝、紫龍、クィーン、お前たちは回復してから合流しろ。敵は今までの敵以上に強敵のようだから、少しでも不具合があれば休め。」


３人は今すぐにでも行きたい所であるが、葵の説得に頷き病院へ残った。