数十分後、青銅二軍たちと共闘した葵。

あのＤｅｅｐ　Ｏｎｅｓはまたしても聖闘士たちの前に倒れた。

更に情報を得たいと思った葵だったが、見渡す限りは屍の山。

何かないだろうかと思っていると、ある者の側に不思議な物が落ちていた。


「これは…。」


手にすると、それは何かの石片だった。

奇妙に欠けて歪んだ暗緑色で、この周囲にこれに似た鉱物は見当たらない。


（何かの手がかりになるかもしれない。一応、戦利品として頂いていくか…。）


聖域に持ち帰れば、何かわかるかもしれない。

葵は負傷している青銅二軍の応急手当を済ませると、彼らと共に他のメンバーが集まっているところへテレポートした。

テレポートが終わると、皆が駆け寄ってくる。


シュラ「葵！　無事だったか！」

「あぁ、私は大丈夫だ。青銅たちがかなり手酷くやられたが、命に問題はない。」

アイコ「そうか…、俺たちもあの半魚人に襲われたよ。」

「やはりか…。」


よくよく見ると、合流した他のグループの者たちすら傷だらけだ。

あと少し、救援が遅ければ青銅たちはどうなっていたかと思うと葵はゾッとした。


童虎「おぬしが救援に言っている間、他のグループに話を聞いたが、特に目新しい情報もない。さて、次の一手はどうするかのぅ…。」

ラダ「一度、聖域へ戻ってはどうだ？」

サガ「しかし、それではかなりタイムロスになりはしないか？」

ミー「確かに、そうかもしれませんね。」


皆であーでもない、こーでもないと話している内に葵はあの石片を思い出す。


「実は、先ほど救援に行った時、こういう物を拾った。」


葵はそれを皆に見せる。


ミロ「これは、石なのか？」

「あぁ、Ｄｅｅｐ　Ｏｎｅｓどもの側に落ちていたし、周囲にそれらしい鉱物も無かった。手がかりになるやもと思って拾ってきた。」

ミュー「今は、どんな情報でも欲しい時です。その判断は正しいと思いますよ。」

ムウ「しかし、このような鉱物はいまだかつて見た事がない。冥界はどうですか？　地上よりは資源も豊富で鉱物もたくさんあるとお聞きしていますが。」

シル「…俺は覚えが無い。」

ゴー「シルフィードが知らないとなれば、冥界では存在しない可能性が大きいな。」

デス「何だ、バジリスクはこういうのに詳しいのか？」

バレ「彼は細工を造るのが得意でね。度々、珍しい鉱物を何処からか持ってくるのさ。」


鉱物の宝庫といわれる冥界、その冥界で一番鉱物に詳しい者がお手上げというのだから、これはますます敵の手がかりである可能性が大きくなってきた。