葵たちが最初にやってきたのは、３人が攫われた現場。

海際にあるその屋敷はとても良い場所で、こんな時で無ければさぞかし過ごしやすい場所なのだろう。


童虎「では、屋敷内をくまなく調査するか。アイオリアと星矢はワシと外へ、葵と瞬は屋敷内じゃ。」

「承知した。瞬、行こう。」

瞬「はい。」


葵と瞬は屋敷内を一部屋一部屋、丹念に調べていく。

葵は意気消沈している瞬を見て、気にかかっている事を聞いた。


「瞬、一輝たちの様子はどうなんだ？」

瞬「全身に傷を負い、出血も酷いようです。まだ、意識も戻っていないし…。兄さんも、紫龍も、クィーンも…。」

「そうか…。」

瞬「あんなに強い兄さんが、まさか、あんな風にやられてしまうなんてっ…！」


瞬は涙を浮かべていた。

葵はそんな瞬の両肩を優しく叩く。

その表情はどこまでも優しさに溢れている。


「大丈夫だ、瞬。一輝がそんな簡単にやられやしない事は、お前が一番良く知っているはずだろう？　紫龍もクィーンも、一流の闘士だ。絶対に大丈夫、きっと元気になるよ。」

瞬「葵さん…。そう、ですね。兄さんたちが、そんな簡単にやられはしませんよね。僕、そんな簡単な事も忘れていたなんて…。」

「それほど動揺していたんだ、事態が事態だけに仕方が無いさ。さぁ、調査再開といこうか。」

瞬「はいっ！」


しかし、その屋敷を調べ終わり、他に割り振られた場所も全て探しつくしたが手がかりは微塵も得られなかった。

文字通りお手上げ状態になってしまった葵たちは、他のグループはどうなっているのかとテレパシーを送ってみる事にした。

できれば、全部のグループと同時交信したいので一番能力に長けている葵が、小宇宙を高めようとしたその時だった。


瞬「…何だ？」

星矢「どうしたんだよ、瞬？」

瞬「サークルチェーンが、何か感じ取っているようなんだ。」

童虎「ふむ…、どうやらあっちの方から来てくれたようじゃ。」


アイオリアは拳を握り締める。


リア「…来る！」


アイオリアの言葉と同時に、葵たちは大勢の影に取り囲まれた。